奈良県立五條高等学校では1年生253名を対象に『探究活動の進め方』を導入し、探究の土台づくりに活用しています。
探究学習を通して地域のことを知り、自分たちの地域に誇りを持てるようになったプロセスを伺いました。(2022年12月取材)

POINT

  • 県独自の取り組み「奈良TIME」に合わせ、『探究活動の進め方』書籍をサポート役に
  • テキストと動画を活用して土台をつくる、共通認識をつくる、ノウハウを学ぶ
  • 地域の探究を通して、意外と五條市はすごいじゃないか!と気づきを得られた

『探究活動の進め方』で生徒と教員の共通認識をつくる

各教科の担当教員はいても、探究専門の先生はいません。本校の「総合的な探究の時間」は、担当する教員の負担が大きかったことが課題でした。
そもそも「探究」とはどういうものなのか、どんな指導方法があるのかを教員全体で理解するのが難しく、慣れない・はじめてで不安だという声もありました。
『探究活動の進め方』には、基本的なところから記載されていて1年生の「総合的な探究の時間」である「奈良TIME」に合いそうだと思い、使い始めました。

「奈良TIME」では、地域の課題を知り、その解決方法を見つけ出すことを目的としています。
そのサポート的な役割でテキスト導入し、付属するデジタル補助教材を活用して授業の土台づくりに取り組みました。
授業の中では動画を視聴し、「探究のサイクルの4ステップ」や「課題はつながっている」ということを、生徒と教員が一緒になって学びました。
動画をテキストと一緒に見ることでより理解が深まり、教員間でも「探究とは」ということの共通理解につながったと思います。

グループワークやプレゼン資料づくりに活用

地域について学ぶ取り組みはもともと「奈良TIME」で行っていましたが、そこで『探究活動の進め方』を活用することで、探究のより深い学びを目指せるようになりました。
特に、根本となるグループワークやプレゼンテーションにおいて大変役立ちました。

グループワークでは、自分の意見を話すことや、自分たちが設定したテーマについて議論ができるようになってきました。
また、話し合いを通して、「そんな考えもあるんだな」と自分以外の発想や意見に気づくことができるようになりました。
さらにBYODの恩恵もあって、グループでの学習内容をICTを活用してすぐに可視化、共有できるようになったことも大きいです。

プレゼンテーションについては、マイナビの担当の方からの講演を聴き、基礎的な考え方について理解を深めました。
テキストの伝わりやすい発表のコツや資料づくりのポイントを参考にして、生徒たちは資料作成をがんばっていました。
実際に生徒が作ったプレゼンシートは高校生らしい感性があって面白かったですし、学んだことを生かして良い資料になったと思っています。

高校生の柔軟な発想や面白さがあった一方、「それを実現するためにどんな課題があるか」については、まだまだ改善の余地があります。
とはいえ、1年生のうちに答えのない問題に対して課題を見つけたり、課題解決力を養ったりする貴重な機会になりました。

自分の地域に誇りを持てるようになった、次のステージは?

五條市について、五條高校について、教員や地域のさまざまな方からお話しを聞きながら授業を進めてきました。
市役所で地域創生に関わっている方、フェアトレードを通してインドの女性たちを支援する起業家の方など、地域でさまざまな活動をしている方とのつながりを大切にしています。
生徒たちは地域のことや学校のことを知って、意外と五條市はすごいじゃないか!という気づきがあったようです。そこから自分の地域に誇りを持てる子が増えてきました。
ゆくゆくは地域の産業との取り組みを2年生、3年生以降の探究活動につなげられたら良いと考えています。
市の企画政策に携わることや、起業家として活躍される方との交流の機会なども持つことができたら……とやってみたいことはたくさんあります。
プレゼンもクラス発表や学年ごとの発表にとどまらず、学校外での発表やコンテストへの参加にもチャレンジしてみたいですね。


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探究活動の進め方

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