鹿児島県立川内高等学校では、1年生7クラス280名、2年生7クラス277名、3年生6クラス230名で「探究活動の進め方」を導入し、3年間をかけて継続的かつ計画的に探究活動に活用しています。
POINT
- 独自の探究活動「可愛山プロジェクト」との併用で、生徒の主体性の助けに
- 動画や付属のワークブックも活用しながら、教員全員が自信のある指導に
- 目指す姿は“意欲的でなおかつ主体的”な学び
「可愛山プロジェクト」との併用で生徒の主体性の助けに
本校では総合的な探究の時間を中心とした探究活動や、現代の諸課題に関わる文化常識を身につける取り組みを、学校向いのニニギノミコトを祀る可愛山稜から「可愛山(えのやま)プロジェクト」と呼称しています。探究活動においては、1年生1学期でディスカッション活動、以降は夏休みを含め地元自治体と連携した地域課題探究活動を、また2年生から3年生では個人課題探究を実施しています。
従来は1年生前半でディベート活動を実施していましたが、活動が形式的になりがちで、対戦グループ以外の観戦生徒の活動が少ないことや、全行程の終了までに時間がかかり後半の地域課題探究の時間が少なくなってしまうなど、課題が多くありました。そこで、全員が毎時間参加できる「ディスカッション」へ活動を変更しました。
その際、すでに2年生が活用していたマイナビの『探究活動の進め方』にディスカッションの項目があることから、1年次から本書を使用することによってスムーズに活動の移行ができると考えました。ディスカッションを1年生で経験することで、3年生での入試対策に活かせることもねらいの1つです。
2年生については、以前は他のテキストを使用し、1学期いっぱい時間をかけて探究の方法を学び、2学期以降に個々の探究活動を進めていましたが、テキストの難易度や、探究方法の説明の時間を短縮し、時間の取れる夏休みからスタートを図ることで、探究活動をより充実させたいとのねらいもあって『探究活動の進め方』を使い始めました。
現在はスムーズに探究活動を進めることができています。
教員全員が自信のある指導に
生徒が 探究活動を進めるにあたり、本校ではどの学年でも全教員がサポートにあたっています。 従来は係の教員が作成した指導マニュアルを使用していましたが、実際の活動場面では共通理解が追い付かず、教員も進め方への不安や戸惑いを抱えていました。
『探究活動の進め方』の動画や付属のワークブックを活用することで、教員・生徒双方にとって毎時の探究活動の流れがわかりやすくなり、各時間の指導内容が明確になりました。おかげで教師側も自信を持って生徒の活動をサポートしやすくなったとの声を聞いています。
また、生徒にとっても「あいまいに」「なんとなく」テーマを選ぶのではなく、マインドマップ等を利用して自分が本当に関心のある分野に気づき、意欲をもってテーマに向き合うことで、今までなかなか抜け出せなかった 調べ学習の域から、自分なりの疑問や問いを認識し、主体的に探究活動へと深化させる姿勢を感じられるようなりました。
目指す姿は“意欲的でなおかつ主体的”な学び
本校の生徒の多くは大学進学を目標とし、学力の向上をめざして日々学習に力を入れていますが、そこには“意欲的であるが受動的”な学びの姿勢が見られることも否定できません。
探究活動を通じて、日常生活や社会に広く目を向け、自ら課題を発見・設定できる力を養うことで、“意欲的でなおかつ主体的”な学びの姿勢へと転換し、自ら設定した課題「答えのない問い」の解決に向けた能動的学習へと発展することを期待しています。本校における共働や個々による探究活動が、自らの進路選択へとつながり、常に「問い」と「探究」を繰り返し、思考を深める中で自ら人生を切り拓く力へとつながる契機となるよう、「可愛山プロジェクト」も変化を重ねながらより充実した取り組みへと進化させたいと考えています。
なお、 本校では「志望理由の組み立て方」も導入しています が、活動の成果がより深くなれば、志望する学校や学問系統について志望理由も深くなっていくだろう、という期待はあります。またその点を意識して今後の指導に当たらねばならないとも考えます。
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