東京都立神代高等学校では、1年生7クラス279名を対象に『locus(ローカス)ProgramⅠケーススタディ動画視聴プラン』を導入し、ICT教育を推進しています。
第2回では、探究の学びとキャリア教育との接続についてご担当の先生にお話しを伺いました。(2022年10月取材)

POINT

  • 進学後の”その先”を考えるキャリア教育を扱いたかった
  • locusで全体像を俯瞰して見つめる視点を学び、受験科目以外の教科を学ぶことへの抵抗感が少なくなった
  • 一生学び続けられる人、一生探究できる人になってほしい

進学後の“その先”を考えるキャリア教育と探究をつなげるねらいとは?

これまでキャリア教育を総合で扱うことが多かったのですが、結局「進路指導止まり」になってしまっていることが課題でした。本来のキャリア教育は進学後の“その先”を考えることです。ただの「進路指導」ではない視点がほしかったんです。その点、locusには企業のケーススタディ動画があり、働くイメージを持ちやすそうだと思い、導入を決めました。

本校の生徒のほとんどは4年制大学を目指しており、中には早い段階で「志望校の受験科目に〇〇は不要」と判断してしまう生徒もいます。しかし、locusをやっているからか、受験科目以外の教科を学ぶことへの抵抗感が少ないです。これは意外な効果でした。

探究学習を武器に、一生学び続けられる人になってほしい

総合型選抜では、5教科以外の武器を持っていることがカギだと思っています。
探究学習も、部活動や学校行事に並ぶ武器の1つとして使えるように導いていきたいです。文章を書く力・プレゼンテーション力の向上などのスキルアップの他にも、生徒の将来について興味関心を持つきっかけ作りになってほしいです。
以前は「探究で発表をさせて、プレゼン力を養いたい」と思っていました。生徒と一緒に教員もlocusを学んでいくうちに、人生を充実させるために「一生学び続けられる人・一生探究できる人」になってほしいと考えが変わりました。


生徒のlocus学習記録

Unit2では物事の全体像を俯瞰して見つめる視点を学ぶため、サプライチェーンのしくみを学びます。広い視野から課題を捉えられた、という感想が多く寄せられました。

Q. この学習(Unit2)を通して、サプライチェーンへの理解は深まりましたか?

※locus学習記録「この学習(Unit2)を通して、サプライチェーンへの理解は深まりましたか?」(n=268)に対し、とても深まった、どちらかと言えば深まったと回答した生徒の割合合計

今まで、自分が将来就きたい職業に数学は関係ないのになぜやっているのかわからなかったが、この話を聞いて、今学んでいることは将来役に立つことが分かった。
商品ひとつを消費者のもとに届けるまでに商品の考案、デザイン、商品の原材料、それを加工する人、銀行、その商品を売る場所など、様々な工程があってはじめて届くということが分かった。そして、このうちの何か一つでもかけてしまうだけでサプライチェーンは成り立たなくなってしまうということに驚いた。その過程には、なにかしらの非効率な部分、問題などがあることが多く、それを改善することも大切であると感じた。それを改善するためには工夫が必要でありとても大変そうだと思った。これから商品を買ったりするときはサプライチェーンのことを少しでも考えるようにしたい。

一つの製品を作るのに、数えきれない人たちの支えがあって、それは日本人のみならず、海外の農家なども含まれていて、ものを一つつくりあげること、というのは本当に大変で難しいのだとわかりました。また、授業のなかでは実際にあんパンを例にサプライチェーンを作成しましたが、関わる人や企業を書いているうちに、たくさんの量のものが出てきて、書ききれなくなって、それだけの数の人がかかわっているのだと実感しました。
普段当たり前のように食べたり買ったりしている加工食品や、今私が着ている服なども、このような過程を経て私に届いているのだとわかり実際に書き出して可視化してみると、とてもありがたいものだと改めて感じました。いつか、もしかしたらわたしもものづくりにかかわることがあるかもしれません。その時には、自分以外にもたくさんの人がかかわっていて、その中の一人なんだということを思い出したいと思いました。

私も動画の女性のように、自分のやりたいことと一見関係のなさそうな教科に対して、勉強する必要はあるのだろうかという感情を抱いたことがあった。私は今の時点では語学にとても興味があるので将来は語学関係の仕事に就きたいと考えていた。数学など、ときどきこんなこと勉強して自分のやりたい仕事になにかつながるのだろうか、と考えていたが、今必修科目となっている教科は結局いつか必要になることで、自分の未来につながることなのだから、今は必要ないのではないかと思った教科も将来のためにしっかり勉強していきたいと思った。Unit2の資料にも書いてあった通り、視点を変えて、一見必要のないと思った教科も自分のためになると考えて勉強したい。

社会の仕組みを知れたように感じる。また、一つの製品が私たちの元に届くためにいろいろな人や会社、企業が大きく関わっていることを知るきっかけになった。製品を作るために必要な材料を入手し、加工し、包装し、完成した商品を運送し、コンビニやスーパーに届き、店頭に並び、私たち消費者の手に渡っていくことが普通なことのすごさ、大変さを学ぶきっかけになった。
商品を販売するためには、いろいろな人達との関わりがとても重要になってくる。多くの商品を売るには、ターゲットになるお客さんに手に取ってもらい、リピートしてもらう必要があると思う。また使いたい、買いたいと思わせるための企画提案であったり、発売までの試行期間が売上に直接関わってくる気がした。販売者と消費者だけでなく、さまざまな職種の人たちのおかげで、今のシステムを構築していることを忘れないようにしたいと思った。

※locus学習記録「Unit2のまとめ・感想を記入してください。300文字以上~400文字まで。」(n=268)より一部抜粋

第1回では、locus導入のねらいやノートPCの利活用についてご担当の先生にお話しを伺いました。

東京都立神代高等学校(第1回)

『locus(ローカス)ProgramⅠケーススタディ動画視聴プラン』導入事例、第1回ではlocus導入のねらいやノートPCの利活用についてお話しを伺いました。


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