福岡県立城南高等学校では、1年生11クラス440名を対象に『locus ProgramⅠフィールドスタディプラン』を導入し、課題解決を経験させるという目的に向けて活用しています。(2022年12月取材)

POINT

  • 「何が課題かわからない」から、世の中の企業を通して視野を広げさせたい
  • フィールドスタディをきっかけに進路選択の考えが変わった生徒も
  • 教職員の成長にもつながる経験ができる

課題解決を経験させることで、生徒に身につけさせたい力とは

課題研究を進めるとき「何が課題かわからない」生徒が多かったため、「課題」を考えられる・発見できるようにするためには、視野を広げることが必要ではないかと感じました。
そこで、企業が持っている課題を考え、企業や世の中のことを情報収集しながら課題解決を経験させることは、効果があるのではないかと考えていました。
昔は外部とのつながりを持っていましたが、企業との連携のために、教職員が開拓・アポイント・趣旨説明まですべて対応するのは負荷が大きく、持続可能性が無かったことから、近年はそういった活動が少なくなっていました。
そんな中でlocusに出会い、本校が求める課題解決を経験させるという目的に活用できることから、アウトソーシングする価値のあるものだと感じ、導入を決定しました。

本校は、課題研究のプロセスを通して、課題を発見する、情報を収集する、分析する、問題が発生したときに軌道修正をするなどの、長く使えるスキルを生徒が身につけることを目指しています。
なぜなら、そうしたスキルは進路にもつながると考えているからです。課題を見つけて、自分で課題を考えていくことは、一生続いていきます。
面接や志望理由書でも、大切なのは成果だけのアピールではありません。
どういったところで躓き、どのように解決できたのか、そしてそこで自分自身は何を考え、何を得たのかを明確に伝えられることが大切だと思います。

プログラムの先に見えてきた成果

フィールドスタディの事前指導では、サプライチェーンを念入りに指導するようにしています。
普段は見えない仕事や会社のつながりを考えることで、「この職種業種であれば、この課題でこの解決策」といった短絡的な考えでなく、さまざまな角度から企業の課題を考えられるようになるからです。
また、企業の課題を真剣に考えさせることで、単なる職場体験ではなく、課題解決を体験しながら、新しい視野を広げる企画として意識させるようにしています。
そうしないと、「就職するわけでもないのになぜ高校生のうちから企業に行くのか」といった考えが教職員・生徒・保護者に浮かぶ可能性があり、フィールドスタディの目的意識が薄れてしまうと考えています。

locusを活用したプログラムは2年前からはじめ、初年度の学年は今年の3年生です。
これらの経験をもとに志望先を決めたり、志望理由書にフィールドスタディの取り組みを書く生徒がいました。
その中の1人は、医療関係を目指していた生徒だったのですが、IoT技術を扱う企業に訪問したことをきっかけに、AIを医療に活用するための研究を学んでみたいと、志望先を選択していました。
フィールドスタディで働く大人と直に触れられる経験が、それまでになかった選択肢を生徒に与えられたという成果につながったのではと感じます。

教職員の成長につながる経験に

教職員にとっても、社会を学ぶ良い研修になっています。担当する企業への挨拶メールや本校の取り組みを説明するといった、今までは経験の少なかった渉外的な機会も与えることができました。
また「この企業にはどのような課題が考えられるのか」ということを教職員自身に考えてもらうプロセスも非常に良かったです。探究活動をうまく進行していくためには、ファシリテートする教職員が、生徒たちと一緒に課題の解決策を考えられるようにしていくことが必要です。
そのトレーニングとして、生徒に指導するために企業の情報収集をして自分たちでその領域の課題を考えるという経験は、教職員一人ひとりの成長につながっていると考えています。


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